自分の土地・建物を相続した子どもに大事にしてもらいたい場合

相続

最近はじわじわと遺言書を書く人が増えています。遺言書の目的は紛争予防という意味合いが強いですが、自分の心配は別の部分にあることもありますよね。

その一つに、自分の名義になっている不動産の行く末です。相続した途端に売却されて現金化されることは多いですが、自分の理想では売却ではなくて、子どもたちに違う利用をしてほしいと思っていないでしょうか?

遺言書はそのような願いを伝える、又は指定するのが困難ですが、伝わる遺言書を書けば遺される子どもたちも自然に理解して、親の気持ちを尊重して不動産を管理していってくれるかもしれません。

その不動産の履歴書を作ってみよう

不動産も人も履歴書次第で印象が変わる

私は人も不動産も、金銭価値という以外の価値では同じ要素があると思っています。つまり人なら収入、不動産なら価値以外ということです。

お金がなくても人格に優れている人、安くしか売れないけど所有者にはなくてはならない土地。似ていると思います。人は実際に会えばその人の価値が分かるかもしれません。でも不動産は金銭価値的な面以外はなかなか気づけません。

実際に現物を見ないで評価するとすれば、履歴書みたいな、又は自己PR文みたいなものがあればその隠れた価値が伝わりやすくならないでしょうか?

登記簿を遡って取ってみる

代々引き継いでいるような土地なら、できるだけ昔の分まで登記簿を取り寄せてみましょう。意外なことが分かったりして面白いですよ。この人の名前を親父から聞いたことあるな!とか。

人は主に血縁で相続されていきますが、それに伴って土地も受け継がれていることはよくあります。何となく分かっていても実際に資料で見てみると知らなかったことが分かります。

自分の知っていることを時系列でまとめてみる

自分の不動産に思い入れがあるならその背景を時系列で整理してみてはどうでしょうか?

先ほどの登記簿謄本の情報を元に、この土地・建物ではこういったことが我が家であったんだ、だからこの不動産はウチの家系とずっと一緒にやってきたんだということを分かりやすく書きます。

何も大事なんだ!ということをアピール、強調する必要はありません。箇条書きでくどくないようにシンプルに書けば十分でしょう。次の世代が判断する材料を残すためだけに徹するべきです。あとは彼らが判断することです。

不動産の履歴書で何が伝わる?

なぜその不動産が重要と言うのかが分かるようになる

不動産というものは昔より手軽に手に入るものになっています。昔は今みたいに住宅ローンなんてポンポン審査が下りませんでしたからね。そのせいか不動産というものに対して守るという意識はかなり薄れています。

そこで親からあの土地は先祖から受け継いでいるからどうだとか口頭で言われても、別に土地は土地だろうとあまりピンとこない人も増えています。

でもそれって誰か人を紹介されるときと同じです。いくらあの人はスゴイ!と説明されてもいまいちピンとこないものです。でも事例を出されるとオー!となります。だから不動産もそのように分かりやすい事例を示してあげると意識が変わります。

遺言書がなかった場合でも揉めにくくなる

仮に遺言書がなかった場合でも、その不動産の歴史背景について知っておくと、いわゆる昔ながらの長男が相続して管理していくという形になりやすくなります。

もちろん長男が兄弟に現金など代わりになるものを渡すなど、何かしらの手当は必要になりますが、子どもたち全員でその不動産に対する共通認識が出来上がっていると、この土地に関しては兄貴が持っていたほうがいいだろう、などと自然な暗黙の意識ができやすくなります。

相続で不動産の行き先で揉める場合、完全に不動産がお金に見えているような、モノとして扱ってしまうためこじれているケースが多くなります。

例えがおかしいかもしれませんが、離婚して子どもの親権を争う場合、子どもはどっちと一緒にいたほうが将来幸せなんだろうか?とその子のことを考えるでしょう。でも不動産の場合、その不動産の歴史背景も何も知らないとただ金銭価値の換算だけで分け方を揉めてしまうことになります。

もちろんこれで遺産相続で揉めないということが確かになるわけじゃありません。ただ、目の前にこれだけの資産があります。さあ兄弟で分けましょうというより、この資産は父が苦労して手に入れたものだとか、バックグラウンドが脳内に再生されると語気も強まりづらいのではないでしょうか?

付言事項の補助になる

遺言書のある意味肝となるのが付言事項です。法定相続分と異なる指定の場合でも、ここでそう指定するに至った背景を書いておくことで、少ない取り分の相続人も納得しやすくなります。

そこで遺言書とは別に不動産の履歴書を作っておくことでその補助になります。どうしても遺言書の内容はたんぱくで突き放したような印象を持つこともあるため、書いた人の気持が感じ取れる付言事項とともに残すことでよりトラブルを避けることができます。

はっきりと相続するもの、利用方法を指定することもできる

民事信託で実質的に利用方法を決められる

遺言書だけでは不可能ですが、民事信託を使えばある程度理想通りの指定をすることができます。

ただ手続き面で楽とは言えず、それなりの準備も必要ですし、あまりそこにこだわりすぎると子どもたちの将来を親が縛り付けることにもなります。

この辺りはバランスなのですが、事情を考えてこのような方法を取るのもありで、実際にその利用方法は増えています。

結局のところ、何も知らないから遺言書が必要になるし揉める

相続をもじって争続なんて書きますが、もめる原因というのは親の気持ちや背景がはっきりしない、または子どもたちの共通認識が出来上がっていないからです。

昔は有無をいわさず長男がという風習でしたが、あれはそういう時代と法律だったからというだけでなく、親の期待や意向、他兄弟たちの間でのある意味仕方がないという諦めも含めた共通認識ができあがっていた一面もあります。

今これだけ相続でもめやすくなったと言われるのは、やはり親と離れて暮らし、お互いが疎遠になってしまいがちなのも影響しています。だからお互いの、相続に関する人達の間で伝わるものが伝わっていれば、仮に遺言書がなくても揉めないで済むことが多くなります。

だからこそ、ただ行き先を指定するだけではなく、それについてまわる背景を伝えることも一つの相続対策となるでしょう。

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