ふるさと納税って本当に損しない?という疑問解決

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ふるさと納税って、なぜか損すると感じてしまう変な心配があるんですよね。ウチの母親はやたら「大丈夫なん?」と聞いていました。まるで息子が詐欺にあってるかのごとく。

私も最初は不安でした。仕組みは理解していても、2,000円だけ自己負担というのが逆に理解を曇らせていたところがあります。どうも、頭のなかでスッキリしない。イメージできなかったのです。

これは一度やってみて、次の年の5月にやってくる住民税納付書を見たときにスッキリします。ああ、なるほどねと思います。これはネットで説明してくれているサイトの通りなのですが、実際にやってみて結果を見ないとなんか頭にスッと入ってきませんでしたね。

要は、寄付した金額が、きっちり税金から引かれていればいいんです。

自営業者目線のふるさと納税について「自営業のふるさと納税~寄付限度額の計算とコツ

ふるさと納税は税金の先払いだと考えればいい

ふるさと納税がいまいちピンと来ない理由は「寄付」という感覚があるからです。

ふるさと「納税」なので、あくまで税金の支払いなんです。

基本的な所得に対して支払うべき税金は「所得税」と「住民税」の2つです。

この2つの合計額から、ふるさと納税で一部を『先払い』しているだけ、と考えれば損をしないことがイメージできるのではないでしょうか?

サラリーマンなど給与所得者は払い過ぎ状態を取り返す

サラリーマン・OLなど、雇い主から給与をもらっている人の税金は天引きが基本です。

ふるさと納税の限度額基準は、ふるさと納税をした年の所得(収入)です。サラリーマン等は、自営業と違いその1年の収入が決まっています。だから、所得税と住民税を1年間でどれだけ納めるべきかがほぼ確定しています。だから天引きできます。

でもふるさと納税をしても、12月の給料まできっちり天引きされ続けます。つまり、ふるさと納税で所得税等を先払いしているのに天引きがそのままなので、税金の支払いすぎ状態になります。

サラリーマン等の場合、この払いすぎている(天引きされすぎている)税金分を取り戻すことで、ふるさと納税で損をしていない状態になります。

この取り返す作業は、翌年の2月から3月に行われる確定申告により行います。

確定申告は一般的に自営業などが所得額を申告して税金を納める作業ですが、大きな手術をしたりとかで医療費がかかった場合の医療費控除など、税金を取り戻す場面でもあります。

ただ自治体が一定数以下などの特例条件を満たす場合は、書類申請で確定申告なしに、自動的に翌年の住民税から控除される仕組みもあります。

自営業は完全に先払い状態

自営業の場合は、基本的に確定申告で所得税、5月頃の住民税と一括で払います。

サラリーマンの場合と違って、その年の所得(収入)が12月31日を迎えるまで確定できません。だから天引きというのは不可能です(天引きする雇用者がそもそもいませんが)。

だから、ふるさと納税は完全に税金の前払いになります。先に、所得税や住民税の一部を支払っている状態です。

つまり、先払い分を所得税と住民税から控除して、残りの税金を支払います。だから税金を払いすぎて取り戻すという作業はありません。

本当に損しないのか?計算式で追っかけてみる

仕組みは前記の通りで、

  • サラリーマン等は取り戻せば損しない
  • 自営業は前払い分を引いて納めれば損しない

ということになります。

では実際に損しないのか?という点については、サラリーマンも自営業目線で見ていくと分かりやすいと思います。

サラリーマンは天引きシステムがあるからピンとこないかもしれません。天引きされていないとして、自営業みたいに後で支払うものとして考えてみればいいでしょう。

先払いした税金を所得税から引き、残りを住民税から引く

ふるさと納税は先払い納税です。

その先払いしている分は所得税と住民税です。

先払いしている税金の内、所得税で目一杯控除して、残りを住民税で控除。最終的に2,000円だけ控除できずに残る。つまり2,000円が自己負担額と言われるわけです。

所得税と住民税の控除の違い

所得税から控除する分は、所得から控除します。

住民税は住民『税』から控除します。

ややこしいですが、所得税は所得税額がいくらか計算する前に引かれます。それに対して、住民税のほうは実際に納める住民税額から引かれるという違いがあります。

第一の控除「所得税」でいくら得するのかの計算

所得税でいくら得する(控除される)かは、確定申告書の右段最上部の26番の金額が必要です。課税の対象となる所得です。

課税所得 = 売上 - 経費 - 控除(社会保険や医療費、小規模企業共済など)

の金額。

もし役員報酬など給与収入もある場合は、給与所得控除を引いた後の金額が所得として加算されます。

この所得金額によって、所得税率が変わります。

ふるさと納税をした場合

仮に

課税所得:1,000万円
ふるさと納税:30万円

としましょう。

課税所得 = 売上 - 経費 - 控除

の、控除にふるさと納税がまるまる含まれます。

なので、ふるさと納税をした場合は

自己負担:2,000円を引いた29万8,000円が控除されます。つまり……

課税所得:970万2,000円

となります。

いくら得したのか?

平成29年時点での所得税率では、所得900~1,800万円の税率33%です。

所得に税率をかけて、出た数値から決められた控除額を引きます。それが確定申告で支払うべき所得税額。

納税なし(1,000万円 ✕ 33%) - 153万6,000円 = 1,764,000円

納税あり(970万2,000円 ✕ 33%) - 153万6,000円 = 1,665,660円(切捨で1,665,600円)

※これに復興所得税(2.1%)がかけられますがここでは無視

1,764,000円(納税なし) - 1,665,600円(納税あり) = 98,400円

ふるさと納税をしたことで、

9万8,400円

の所得税が減りました。

30万円のふるさと納税をしているので、まだ20万円ほど足りていません。

この残りは次の住民税から引かれることになります。

第二の控除「住民税」でいくら得するのかの計算

住民税からふるさと納税寄附金額がどのように控除されるのかは、5月頃に届く住民税の決定通知書に計算式が書いてあります。

寄付金に関しては、

  • 基礎控除
  • 特別控除

の2つの控除合計額が、当初の納税するべき住民税額(所得割額)から引かれます。

所得税はベースから控除。住民税は結果から控除です。

住民税の基礎控除や生命保険料の控除上限が、所得税の場合より低いので、所得税の控除合計を適当に100万円。住民税のほうを90万円としておきます。

1.基礎控除の計算

寄附金額の限度額は総所得金額の30%までですが、そこまで寄付するケースはまずないので以下計算でほぼ間違い無し。

計算式(寄附金額 - 2,000円) ✕ 10%

納税あり(30万円 - 2,000円) ✕ 10% = 29,800円

2.特別控除の計算

調整控除後の所得割金額の20%が限度。

調整控除を引いた後の所得割金額の20%が特別控除MAXです。所得割金額は課税所得の10%です。調整控除は売上がある自営業だとだいたいマイナス2,500円。

限度額(101万 - 2,500円) ✕ 20% = 20万1,500円(特別控除の限度額)

この限度額までしか控除しませんよ、というわけです。

計算式(寄附金額 - 2,000円) ✕ (90% - 所得税の適用最高税率(0%~45%))

納税あり(30万円 - 2,000円) ✕ (90% - 33%) = 169,860円

限度額以内なので、こっちの安いほうが控除されます。

※所得税の適用最高税率は、所得税の計算ときの税率です

住民税から得する金額

29,800円 + 169,860円 = 199,600円

ふるさと納税をしたことで得した金額

これで控除される(得する)金額が揃いました。

98,400円(所得税) + 199,600円(住民税) = 29万8,000円

となり、ふるさと納税30万円から自己2,000円を引いた金額、きっちり得しています。

だから2,000円で30万円分のふるさと納税の返礼品をゲットしていることになります。だから損は全くしていません。

MAXいくらまで寄付できたのか?

では1,000万円の所得があったこのケースの場合、一体いくらまで寄付できたのでしょうか?

ふるさと納税の寄付限度額計算式はこれです。

(住民税の所得割額 ✕ 20%)÷(90% - 所得税率 ✕ 1.021)+ 2,000円

※住民税の所得割額は調整控除を引いたもの。だいたい2,500円マイナスなのでほぼ影響しないはず

住民税の所得割額が分かれば確定する

以上の式で不明なところは、

  • 住民税の所得割額
  • 所得税率

の2つです。

住民税の所得割額が分かるということは、所得税率も分かることになります。なぜなら所得税率は所得金額に応じて表に当てはめるからです。

つまり、住民税の所得割額さえ分かれば、ふるさと納税の限度額が分かるということ。

住民税の所得割額って何だ?

所得割額は総所得(確定申告書の9番)から、住民税計算における控除を引いた金額の10%です。

所得割額 = (総所得 - 控除) ✕ 10%

総所得は確定申告書の9番です。売上から経費を引いた、何も控除(基礎控除も医療費控除も何もかも)していない状態の所得です。

※ふるさと納税限度額計算における所得割額は、調整控除を引いた後の金額です。自営業はだいたい2,500円。

住民税と所得税の控除は少し違う

医療費や社会保険料控除は同額ですが、生命保険の控除限度額や基礎控除額が違います。

だから確定申告書の26番の金額に10%をかけると微妙に数字が違ってきます。

ただ大きくは変わらないので、ここでは例として同額の控除として計算しておきます。

きちんと計算する場合は、住民税における控除額を決定する必要があります。毎年変動するのは社会保険料と医療費控除あたりでしょう。後はだいたい毎年同じなので、比較的確定しやすいはずです。

所得1,000万円で計算してみると?

ここでは課税所得1,000万円(確定申告書26番)を計算例にしていました。

これは所得税における控除をした後の金額。社会保険とか引いた額です。

ふるさと納税限度額計算に必要な住民税所得割額を割り出すには、控除する前の所得が必要です。

だいたい住民税のほうの控除が少し少なくなるので、ここでは10万円分少なかったことにしています。

控除前の総所得:1,100万円(確定申告書の9番。給与所得控除は引かれている)
所得税としての控除額:100万円
住民税としての控除額:90万円
所得税の課税所得:1,000万円
住民税の課税所得:1,010万円

としておきます。

限度額計算式に当てはめてみる

課税所得の10%が所得割額(復興所得税は無視しています)。調整控除は2,500円としています。

限度額計算上の所得割金額は

1,010万円 ✕ 10% - 2,500円 = 100万7,500円

限度額計算式に当てはめると……

100万7,500円 ✕ 20% ÷ (90% - 33%) + 2,000円 = 355,5508……円

となって、だいたい35万円まで寄付できたとなります。

ギリギリの36万円を寄付してみた場合

住民税の控除には限度額があります。だから限度額を超えた寄付をしていた場合、限度額までしか控除されない点に注意。

所得税の控除額

1,000万円 - 35万8,000円 = 964万2,000円(課税所得)

所得税の場合、ふるさと納税で課税所得が減少。自己負担2,000円を引いた35万8,000円が控除されます。

納税なし(1,000万円 ✕ 33%) - 153万6,000円 = 1,764,000円

納税あり(964万2,000円 ✕ 33%) - 153万6,000円 = 1,645,860円(切捨で1,645,800円)

1,764,000円 - 1,645,800円 = 11万9,000円(所得税で控除された税額)

この時点で、11万9,000円が返ってきていることになります。

住民税の基礎控除額

寄附金額の限度額は総所得金額(何も控除していない)の30%まで。これをチェック。

限度額:1,100万 ✕ 30% = 333万円(基礎控除の限度額)

控除額:(36万円 - 2,000円) ✕ 10% = 35,800円(本当はこれだけ控除して欲しい金額)

限度額以内なので、

35,800円

が控除額です。

特別控除の計算

調整控除は2,500円としています。

1,010万 ✕ 10% = 101万円(調整控除前の所得割額)

今度は限度額を計算します。

限度額(101万 - 2,500円) ✕ 20% = 20万1,500円(特別控除の限度額)

控除額(36万円 - 2,000円) ✕ (90% - 33%) = 20万3,775円(本当はこれだけ控除して欲しい金額)

限度額をオーバーしたので、特別控除される金額は

限度額の20万1,500円

になります。

36万円ふるさと納税した場合で、どれだけ税金が返ってきているか?

11万9,000円(所得税) + 35,800円(基礎控除) + 20万1,500円(特別控除・限度額まで) = 35万6,300円(控除合計額)

36万円(寄付額) - 2,000円(自己負担) - 35万6,300円(控除額) = 1,700円(自腹で負担した寄付額)

というわけで、1,700円は純粋な寄付となりました。自己負担は3,700円というわけです。

控除部分で適当に設定しましたが、ふるさと納税限度額の計算式はちゃんと信用できることが分かりました。

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